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町田 秀夫*; 荒川 学*; 若井 隆純
Proceedings of 27th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-27) (Internet), 8 Pages, 2019/05
本研究は、Na冷却高速炉(SFR)の破断前漏えい(LBB)評価に適用可能な周方向貫通き裂の開口変位(COD)とJ積分評価に及ぼす局所塑性変形の影響について述べる。J積分とCOD評価法は一般に弾性成分と塑性成分の和として定式化され、これまでにこれら2つの成分に基づく評価式が数多く提案されている。しかしながら、厳密には、塑性成分は、局所塑性成分と大規模塑性成分とからなる。従来の評価方法の多くは、塑性成分として大規模塑性成分のみを考慮することが多い。その理由は、局所塑性成分の影響は、加工硬化の小さい材料を除いて、大規模塑性成分のそれよりはるかに小さいからである。ただ、SFR配管の候補材料の1つである改良9Cr-1Mo鋼のように、降伏応力が大きく加工硬化が小さい材料では、J積分およびCODに対する局所塑性成分の影響は無視できない。そこで、有限要素解析(FEA)結果に基づいて、J積分およびCODに対する局所塑性成分の影響を考慮した式を提案し、亀裂評価に適用しやすいようにした。計算式は、日本機械学会から発行されるSFR機器のLBB評価に関するガイドラインで採用される。
栗原 良一; 植田 脩三; 多田 栄介
Fusion Technology, 30(3), p.1465 - 1469, 1996/12
核融合実験炉の真空容器は、トリチウム等の放射性物質を内蔵するため、安全上重要な機器の一つである。真空容器はトロイダル一周抵抗を高くするため、ステンレス鋼製の二重壁構造としている。二重壁内部には冷却材として水が循環しており、寿命期間中には応力腐食割れ等によって亀裂の発生が考えられる。また、冷却材侵入事象が起きると、発生した水蒸気による内圧荷重およびプラズマディスラプションによるVDE荷重が膜応力として真空容器に作用する。亀裂を有する二重壁をモデル化し、有限要素法解析コードADUNAを用いて破壊力学的検討を行った結果、3dpaまで照射され脆化した真空容器内壁に板厚の1/4深さの亀裂を想定しても、未照射材の降伏強さ程度の膜応力が作用した場合、亀裂先端のJ積分値は材料の破壊靱性値Jに比べて十分小さいことが判った。
磯崎 敏邦; 柴田 勝之; 川上 誠*; 大石 智子*
JAERI-Research 96-039, 133 Pages, 1996/07
PTSは加圧水型原子炉容器に生じる最も厳しい事象とされている。とくに、中性子照射脆化が進行した原子炉容器にあっては、PTSに対して十分健全性が保持されなければならない。この研究は、き裂進展に伴うき裂進展抵抗の増加を考慮しき裂進展解析を行うことによって、より現実的な安全裕度を評価することを最終目標とする。本報は、この目標を達成するための第一歩として、MPAが実施したPTS実験について解析した。解析の目的は、ADINA Version6.1コードの非定常熱解析とき裂進展解析能力を明らかにすることである。内容は(1)壁内非定常温度分布解析 (2)周方向初期欠陥からの延性き裂進展量解析である。
古橋 一郎*; 若井 隆純
PNC TN9410 95-080, 84 Pages, 1995/02
FBR構造物の破壊力学解析手法整備の一環として、破壊力学パラメータ解析コードCANIS-J(2D)の改良を行つた。(1)2時点間の応力範囲を用いた、12時点問の応力拡大係数範囲Kの計算評価機能の追加(2)2時点間の応力範囲、ひずみ範囲および変位範囲uを用いた、2時点間のJ積分およびJhat積分の計算評価機能の追加。(3)J(J)およびJhat(Jhat)計算式の積分各項毎の計算評価機能の追加。(4)以下の3つの計算モードを1ジョプで計算実行する機能の追加。・モード0任意時点のK、J、Jhat計算・モード1任意の2時点間のK、J、Jhat計算・モード2任意の連続2時点間のクリープJ積分(J、Jhat)計算特に今回機能追加されたK、J、Jhat計算機能を確認しその適用例を示すために、ATTF環状き裂付き試験体の熱疲労き裂進展試験の破壊力学解析およびき裂進展シミュレーションを行い、以下の結果を得た。(1)熱弾性および熱弾塑性応力場では、J(J)は経路独立性が成立せず、解析評価が困難であり、適用できない。これはJ積分が、弾性応力場で定装されたことによる。(2)Jhat(Jhat)は熱弾性および熱弾塑性応力場でも経路独立性が成立し、解析評価が可能であり、適用可能性が大きい。これはJhat積分が、より一般的な応力場で定義されたことによる。(3)Jhat、熱弾性K、き裂先端近傍の応力(ひずみ)範囲、き裂断面リガメントの正味(曲げ)応力範囲Sn、これらは共通の2時点問でほぼ最大値をとる。(4)Jhatを用いたき裂進展シミェレーションは試験結果に良く対応している。(5)これらの解析結果から、複雑な熱弾塑性荷重サイクルを受けるき裂付き構造物の破壊力学解析および評価において、Jhat(Jhat)が、き裂先端領域の応力(範囲)、ひずみ(範囲)、リガメントの正味断面応力(範囲)およびき裂進展カなどの力学情報を代表する単一の破壊カ学パラメータとして有力であることが示された。
香川 裕之*; 小井 衛; 和田 雄作; 長嶺 多加志*; 永田 三郎*
PNC TN9410 91-132, 85 Pages, 1991/06
高速大型炉の蒸気発生器の候補材として有力視されている9Cr系鋼の高温破壊靭性試験を、昭和62年度より3ヵ年計画で実施している。この一連の試験研究では、Mod.9Cr-1Mo鋼、9Cr-2Mo鋼および9Cr-1Mo-V-Nb鋼を供試材として、室温から600度Cの温度範囲で、J積分をベースとした破壊靭性試験が実施されている。第1年度では、Rカーブ法および除荷コンプライアンス法を用いた高温破壊靭性試験方法が確立され、Mod.9Cr-1Mo鋼の高温破壊靭性データが取得された。第2年度では、9Cr-2Mo鋼と9Cr-1Mo-V-Nb鋼およびこれら3鋼種の5000時間時効材の破壊靭性試験が実施されるとともに、破壊靭性値に影響をおよぼすいくつかの因子が抽出された。本報告は、この第2年度の成果をとりまとめたものである。第2年度までの成果を踏まえ、第3年度では、厚肉厚材と溶接部の破壊靭性試験を実施するとともに、破壊靭性値に及ぼすき裂方向の影響についても検討を加える予定である。
斉藤 正樹*; 香川 裕之*; 加納 茂機; 和田 雄作*; 二瓶 勲*; 永田 三郎*; 長嶺 多加志*
PNC TN9410 89-096, 105 Pages, 1989/05
高速大型炉2次系,特に一体型貫流蒸気発生器の構造材料の候補として9Cr系鋼が有望視されている。このため,クリープ試験や疲労試験などの材料強度試験が実施され,9Cr系綱のデータの拡充が図られてきた。しかしながら,高速炉蒸気発生器の構造健全性を評価する上で必要不可欠な破壊靭性に関するデータは極めて少ない。そこで,本研究では9Cr系鍋の高温での破壊靭性試験を行い,設計および健全性評価に反映することを目的とした。本研究は,9Cr系鍋であるMod.9Cr―1Mo鍋,9Cr―2Mo鍋,TEMPALOYSW一9鋼(9Cr―1Mo―Nb・V鋼)の3種の鋼の母材(受入材,SR処理材,時効材)および溶接部(溶金,HAZ)について引張試験,破壊靭性試験(J/IC試験およびシャルピー衝撃試験)を3ヶ年計画で行うもので,初年度にはMod.9Cr―1Mo鋼の母材(受入材,SR処理材)について室温,400,500,550および600での引張試験,破壊靭性試験を実施した。本報では,初年度実施分の成果を報告する。引張試験結果は耐力,引張強さともPNC材料強度基準暫定値を満足し,またシャルピー衝撃試験結果も良好であった。J/IC試験はASTME813規格に準拠して,R曲線法と除荷コンプライアンス法の2通りの方法で行った。サイドグルーブ付CT試験片(試験片板厚20mm)を用いてSR処理材について室温から600の範囲で試験した結果,400で最も低い靭性値を示すが,400においても延性き裂発生の限界を表すJ積分J/Qは350kJ/m2以上の十分高い靭性を示すことが明らかとなった。またJ/IC試験では,J積分のほかに,不安定延性破壊発生の評価パラメータの一つであるティアリングモデュラスT/matの値も同時に求めた。
奥 達雄; 石山 新太郎; 高橋 秀明*; 深沢 孝幸*; 橋田 俊之*
炭素, 0(139), p.175 - 181, 1989/00
高温ガス炉構造用黒鉛IG-11ならびにPGXのAE法を併用した破壊靱性試験を実施した。円柱形状の3点曲げ、ショートロッドならびにウランドコンパクトテンション試験片の3種の試験片を用いた。これらの円柱状試験片は国際岩の力学学会(ISRM)において標準破壊靱性試験方法案として提案されたものである。観察された黒鉛の変形の非線形性を考慮に入れ、靱性評価パラメータとしてJ積分を用いた。AE法により評価したき裂進展開始時のJ積分値(Ji)は試験形状によらず一定値が得られた。この結果に基づき、黒鉛の破壊靱性値Kを評価し、IG-11に対して1.04MPa・m/2の数値を得た。さらに、K値の試験片寸法効果を議論した。
柴田 勝之; 大場 敏弘; 川村 隆一; 宮園 昭八郎; 金子 正; 横山 憲夫
JAERI-M 86-078, 66 Pages, 1986/05
軽水炉圧力カバウンダリ配管では破断前漏洩(Leak Befor Break)が成立し、ギロチン破断想定は必要がないと言う考えが今日広く認識されつつある。LBB概念を実証する為の試験研究やLBB概念を導入した配管設計基準づくりも各国で進められている。原研では、LBBに係わる研究の一環として配管の延性不安定破壊試験を58年度より実施している。本報告書はこれまでに実施した室温の不安定破壊試験結果を纏めたものである。試験は、6インチ口径のSUS304鋼管またはSTS42管製試験体を使用し、高コンプライアンスまたは低コンプライアンス条件で、4点曲げ荷重により行い、配管の破壊挙動を調べた。
金子 正; 柴田 勝之; 大場 敏弘; 川村 隆一; 宮園 昭八郎
JAERI-M 85-064, 80 Pages, 1985/05
本報告は、炭素鋼管より切り出した中央切欠き平板の室温、引張り荷重下における破壊挙動に関する試験結果をまとめたものである。この試験研究では、上記平板の引張試験及び延性不安定破壊試験を実施し、次の項目について検討を行なった。(1)実断面応力による破壊挙動の評価、(2)J-R曲線の作成、(3)J積分に基づくTearing Instabilityクライテリオンによる延性不安定破壊の予視。その結果、次の知見が得られた。(I)周方向貫通欠陥を有する配管の崩壊荷重値は、下式に示す流動応力fを用いた実断面応力崩壊基準により推定できる。f=0.6(y+u)但し、y:0.2%耐力、u:31引張強さ (II)高コンプライアンスを有する系のき裂進展の安定性は、J積分に基づくTearing Instabilityクライテリオンにより安全側に評価できる。
古平 恒夫; 宮園 昭八郎; 中島 伸也; 石本 清; 伊丹 宏治
Nucl.Eng.Des., 85, p.1 - 13, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.56(Nuclear Science & Technology)原子炉圧力容器の構造健全性評価に資するため、国産の超厚Mn-Mo-Ni系低合金鋼4種類を供試し、弾塑性破壊靱性により中性子照射脆化挙動を調べた。中性子照射はJMTRにて 290C,2~710n/cm(1MeV)の範囲で行い、中性子照射脆化は、J破壊靱性及びシャルピー衝撃試験により評価した。得られた結果を要約すると以下のとおりである。1)現在の超厚鋼製造技術で、Cu,P等を低減して製造した鋼材は、中性子照射脆化が軽微である。2)遷移温度領域では、シャルピー吸収エネルギー41Jレベルにおける遷移温度の移行量は、破壊靱性100MPa√mにおける遷移温度の移行量とほぼ等しい。3)直流電位差法は、照射材の破壊靱性及びJ-Rカーブの測定に極めて有用な方法である。
山田 嘉昭*; 西口 磯春
Comput.Struct., 19(1-2), p.277 - 284, 1984/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.06(Computer Science, Interdisciplinary Applications)未知関数の表現と形状の表現に異る関数を用いる一般化パラメトリック要素を提案した。これにより、き裂先端等の特異性を表現するための特異要素、あるいは無限領域を表現するための無限要素を統一的に定式化することができる。これらの特殊要素は、従来の有限要素法プログラムに容易に導入できる,任意の特異性を表現することができる等の特徴を有する。本要素の導出においては、未知関数に拘束条件を課している。これに関連して、本論文の後半では種々の拘束条件が要素剛性マトリックスのレベルで導入できることを示す。接触問題で用いられる接合要素も、本法によって定式化できる。
古平 恒夫; 松本 正勝; 中島 伸也
鉄と鋼, 68(8), p.1040 - 1045, 1982/00
単一試験片で、材料の破壊抵抗曲線(J-Rカーブ)を得る手法の確立を目的として、4種類の原子炉圧力容器用銅材を供試し、-60Cから100Cの間の数温度において直流電位差法を適用して3点曲げによる破壊勒性試験を行った結果、以下の結論が得られた。1)き裂長さと電位差変化との関係は、(a+?a)/aと(V+?V)/Vで整理すると、試験片の平面寸法を相似に保てば、試験片サイズ、鋼種、試験温度にかかわりなく、バラツキの少ない一定の傾向が認められる(マスターカーブ)。ここで、aは初期き裂長さ、?aはき裂進展量、Vは初期電位差そして?Vはき裂進展に伴う電位差の増分である。2)上記のマスターカーブを荷重-変位曲線から、単一試験片でJ-Rカーブを求めることが可能である。
古平 恒夫; 中島 伸也; 松本 正勝; 深谷 清
鉄と鋼, 61(8), p.1032 - 1039, 1982/00
板厚250mmのA533Bcl1鋼及び鋼材に熱処理を施して低靭性化を図った鋼材(中性子照射脆化挙動を模擬)を供試して遷移領域から上部棚域にわたって破壊開始時のJ値の試験片サイズ及び温度依存性、シャルピ衝撃性質との相関を調べた結果、以下の結論が得られた。1)へき開破壊域においては、J値に試験片サイズ依存性が認められるが、遷移温度の上昇を100MPa√mのレベルで比較すると、移行量は試験片サイズにかかわりなくほぼ同一で、なおかつ、41Jで評価したシャルピ衝撃試験における遷移温度の上昇と良好な一致を示す。2)上部棚域においては、J破壊靭性の低下率はシャルピ上部棚エネルギのそれより大きい。3)以上の知見より、中性子照射脆化に対する破壊力学的サーベイランス試験方法として、遷移領域ではシャルピ主体上部棚域ではJ破壊靭性により評価することを提案する。
辻 宏和; 近藤 達男
JAERI-M 8787, 23 Pages, 1980/03
ハステロイ-Xを用いて大気中で高温疲労き裂進展試験を行った。応力比R(=min/max)を0、0.5、0.7、1と変化させるとともに、試験温度を750C、900Cの2段階とすることによって、異なったクリープ効果の寄与を与えた。クリープ効果の寄与の差に応じて、破面形態はストライエイションを伴う疲労型となる場合、クリープ型となる場合および疲労型からクリープ型への遷移が起こる場合があった。それぞれの破面形態に応じて、き裂進展速度のデータは、da/dNを応用拡大係数幅Kで整理できる場合、da/dNを繰返しJ積分Jで整理できる場合da/dtを修正J積分Jで整理できる場合があった。
古平 恒夫; 中島 伸也; 松本 正勝
鉄と鋼, 64(7), p.877 - 890, 1978/07
小型試験片によりJ破壊靱性を求めるため、A533Bcl.1鋼について4種類の測定法を比較検討した。3点曲げ試験は-65°~70Cの間の数温度で実施し、き裂発生点の検出はスメックゲージ法を用いた。さらに、A553Bcl.1鋼およびA542cl.1鋼を用いRカーブ法によりblunting line,J値とCODとの関係などを明らかにするため実験を行った。得られた結果を要約すると以下のとおりである。(1)Riceらによる方法が4種の測定法の中では、手法の容易さ、所要試験片数量、精度などの点でもっとも有効である。(2)Valid Jに関する試験片サイズの条件式は、B25(J-y)と表される。(3)J値から予測したK値は、大型試験片によるK値と良好な一致を示した。(4)Rカーブ法におけるblunting lineを表す式は、J=3.7yaで表される。(5)J値、CODおよび横収縮量LCの間には、つぎの関係式が成り立つ。J-y=2.6(COD),J-y=2.0(LC),COD=0.77(LC)